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深山の言葉は機械的と言うか事務的で冷たさを感じる。どうやら、耍麤gの事を良く思っていなかったようだ。
「ところで、深山さん。今日、お訪ねしたのは耍麤gさんが生前書き残した書類、メモでもなんでも良いのですが、何か拝見出来ないかと思いまして」
「耍麤gが書き残したもの?」
「ええ、耍麤gさんの筆跡を拝見したいんです」
「それは一体どう言う意味ですか?」
「実は気になる事がありまして???耍麤gさんが10月9日、上高地インフォメ伐绁螗互螗咯‘に出した登山届と、同じ9日に泊まった涸沢小屋の宿帳、10日に泊まった北罚Ц咝∥荬嗡迬い喂P跡が摺Δ螭扦工琛
「???」
「ですから、登山届と二軒の小屋に残された筆跡のどちらが、耍麤gさん本人が書いたものなのかを確認したいのです」
「しかし、耍麤gの死は滑落事故だった訳でしょう? 警察からはそのように聞いていますが。第一、今更(いまさら)、あなたに耍麤gの書き残した書類を見せなくてはならない理由が分からない。何の権限があって警察の捜査のような事をしておられるのですか?」
深山は冷静を装ってはいるが明らかに神経伲ē施‘バス)になっている。耍麤gの事で詮索されたくないと言った感じだ。
「確かに私には捜査権限なんてありません。でも、眨伽氡匾ⅳ毪螭扦工琛
「それはどのような理由ですか?」
「僕は耍麤gさんが泊まった北罚Ц咝∥荬螐緲I員でして」
「それがどう関係しているのですか?」
「宿帳に偽名を書くのがいけない事だと言う事は深山さんもお分かりですよね」
「まあ、それはそうでしょうね」
「ましてや、泊まった客が翌日亡くなった訳ですから、当然、警察が小屋へも来たんですよ」
「???」
「で、宿帳を確認した所、耍麤gさんが泊まった事は確かだった。でも、筆跡が摺Α
「???」
「となると、小屋に泊まったのが本当に耍麤gさん本人であったのかを確認する必要があるんですよ」
「???」
「もし、小屋に泊まったのが筆跡確認の結果、耍麤gさん本人で無かったとしたら、僕達はその事を警察へ報告しなくてはなりません。何しろ、偽名による宿泊だった事になりますからね」
「でも、そうだとしても何故、一従業員のあなたが訪ねて来られたのですか? 第一、小屋の責任者からは何の連絡もありませんでしたし、アポイントメントも無しに、いきなり来社されるとは???」
「事前にアポイントメントを取っておかなかった事は素直(すなお)に謝(あやま)ります。でも、小屋の主人は会社で言えば社長です。社長本人が直々(じきじき)にアポイントメントを普通取るでしょうか?」
「まあ、いいでしょう。ご用件は分かりました。今、耍麤gが書いた書類を持ってきますから、少々お待ち下さい」
漸(ようや)く深山は折れてオフィスへと書類を取りに戻った。それにしても、深山と言う男、どうも耍麤gについて何かを隠している気がしてならない。そうでなければ、たかだか筆跡確認一つで、ここまで渋ったりはしないだろう。
10分後、深山は書類を片手に戻って来た。
「お待たせしました。これが耍麤gの書いた書類です」
「ありがとうございます。それでは、失礼して拝見します」
俺は深山が持ってきた書類、登山届、そして、二軒の山小屋に残された筆跡を注意深く較(くら)べてみた。
「お持ち頂いた書類と登山届の筆跡は同一ですね」
「はあ」
深山は気の無い返事を返してきた。
「つまり、上高地インフォメ伐绁螗互螗咯‘に出された登山届は、耍麤gさん本人によって書かれたものだった事になりますね。しかし、そうなると二軒の山小屋の筆跡が摺Δ韦虾喂胜扦筏绀Δ停俊
「全く別人の筆跡なのですか?」
「微妙に似てはいます。でも、素人(しろうと)考えですが、耍麤gさん本人の筆跡を無理して真似たように思えるんですよ」
「しかし、山小屋と言うと高い所にある訳ですよね。空気が薄くなって体眨摔鈮浠Fれるんじゃありませんか? それで、筆跡にも変化が現れたとか???」
「いえ、そんな事はありません」
「???」
「これが8000メ去毪虺à毳ē佶欹攻趣雾斏悉胜椁い吨椁骸⒎'高連峰はせいぜい3000メ去爰墹扦埂S喑蹋à瑜郅桑⑻逭{を崩さない限り、他人から見ても明らかに分かる程の筆跡の変化は生じません。それに耍麤gさんは涸沢小屋で既に筆跡に変化が現れています。もし、涸沢小屋で体眨藟浠袱皮い郡韦胜椤ⅳ饯欷瑜旮烁撙け狈'高小屋へは登ってこないでしょう」
「そうですか」
これ以上、問答を続けると墓穴を掘ると見たのか、深山は口を噤(つぐ)んだ。
「これで、小屋に泊まったのが耍麤gさん本人で無かった事がはっきりしました」
「???」
「この事は一応、後日、警察にも報告しておきます」
「???」
「それでは、失礼致します。お忙しい中、貴重な時間をお割(さ)き頂き、ありがとうございました」
「いえ、とんでもありません。お役に立てて良かった???」
深山は再度、力の無い返事を返し、オフィスへと帰っていった。
これで、はっきりした事がある。それは、登山届を出した耍麤gと、二軒の小屋に泊まった「耍麤g」。二人の耍麤gがいたと言う事だ。そして、耍麤gと同じ職場で働く深山の存在。彼は何かを隠している。その何かは、まだ分からないが、どうも、他人には詮索されたく無いと言った風だ。
第3章 耍麤gと深山明夫
俺は会議室をあとにエレベ咯‘へと向かった。すると、先程、俺を会議室へと案内してくれた女性社員と再会した。
「さっきはどうも」
「あ、いえ。とんでもありません」
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彼女は深山とは摺で殼韦胜ば︻啢蚍丹筏皮俊0长悉工丹盒卦蚊潜伺蚊挨虼_認する。
「あ、そうだ。木村未来(みき)さん???て言うんですね」
「はい」
「木村さんも深山さんや亡くなられた耍麤gさんと同じ企画第一課の方ですか?」
「ええ、そうです」
「それなら話が早い。今日、仕事の後、何かご予定はありますか?」
「エッ?」
流石(さすが)に初対面の男にいきなりアフタ斡瓒à蚵劋欷欷小⒄lしも警戒モ嗓摔胜毪韦系比护馈1伺悉沥绀盲壬恧蝰担à工─幛俊
「いや、実は亡くなられた耍麤gさんの事でお話を伺いたいなぁと思いましてね。勿論、ディナ悉搐辘蓼工椤
暫(しば)し思案していた彼女は、おもむろに笑顔で答えた。
「いいですよ。見た所、危険そうには見えないし???ただし、ラ幞螭衰绌‘ザなんて言うのは嫌ですからね」
俺は彼女の仕事が終わるまで、六本木ヒルズ内の毛利公園で時間を潰(つぶ)す事にした。それにしても、六本木ヒルズ森タワ趣虾韦趣猊啸撙ぁ5厣54階。これこそ正に摩天楼と言った建物だ。標高3000メ去毪伪狈'高小屋で働いていた俺ですら、流石にこの人工構造物には度肝(どぎも)を抜かれる。
「そう言えば、昔、天に届く程、空高く聳(そびえ)えるバベルの塔を人間が造った話が拢龝顺訾皮郡胜
俺はクリスチャンでは無いものの、ミッション系私立幼稚園の出身なので、多少なりとも拢龝藢潳工胫Rはある。バベルの塔の話やら、神に滅ぼされたソドムとゴモラの町の話を思い出していると、空を仰ぐ俺の顔に覆(おお)い被(かぶ)さるように彼女の顔が不意に現れた。
「お待たせしました」
「ああ、ビックリした。急に現れるんだもんな」
「独り空を仰いで何を考えていたんですか?」
「いや、この建物を見ていたら、何だか拢龝顺訾皮毳啸佶毪嗡艘姢à皮沥悚盲啤
「バベルの塔?」
どうやら、彼女はバベルの塔を知らないようだ。とは言え、バベルの塔の話をする為に彼女と待ち合わせしていた訳じゃ無い。
「ところで食事なんだけど、あいにくと僕はどこにどう言う店があるのか全く知らないんだ。お店は木村さん、決めてくれないかな?」
「エッ、ホントに私が決めちゃっていいんですか?」
「ああ、いいよ」
「でも???ディナ趣胜毪趣饯欷胜辘谓痤~になっちゃいますけど???」
「それは端(はな)から覚悟しているから」
「じゃあ???ヒルサイドの地下にある『テ耄骏桑骏去辚濂諙|京』で???」
恐る恐るとだが、確実に高そうな店を選んできた。彼女は顔に似合わず、結構大胆な女性なのかも知れない。
「わぁ、一度でいいから食べてみたかったんですよね???ここのトリュフ料理???」
「それは良かった???」
キャビア、フォアグラと並び称される世界三大珍味の一つを前にして、彼女はもうウットリだ。確かにトリュフ専門店でのディナ胜韦坤椤⒚牢钉筏胜すQ(はず)が無い。だが、今夜は彼女とのディナ驑Sしむ事が目的では無い。食事に夢中の彼女を前に俺は本睿丐热毪盲俊
「ところで、木村さん。亡くなられた耍麤gさんの事なんだけど???」
「分かっていますって。こんなに高いディナ颏瘩Y走(ちそう)して下(くだ)さるんですもの。きちんと伲鼏枻摔悉黏à筏蓼工琛
「耍麤gさんってどんな人だったの?」
「う蟆⑹耸陇稀ⅳ饯膜胜长胜筏皮い蓼筏郡汀n啢飧瞍去膝螗单啶菒巯毪饬激盲郡椤⑸缒冥扦魏酶卸趣细撙盲郡扦工琛
「それじゃ、耍麤gさんの事を恨(うら)んだり、快(こころよ)く思っていなかった人って誰かいたかな?」
「う蟆⑺饯沃胂蓼辘摔い粕缒冥摔稀ⅳい胜盲郡人激い蓼工琛%抓楗ぅ侃‘トでは、どうだったのかは知らないけど???」
耍麤gはどうやら社内に敵は、いなかったらしい。しかし、深山の態度からすると、耍麤gの事を快く思っていなかったように見えたのだが???俺は伲鼏枻驂浃à皮撙俊
「ところで、今日、僕を応対してくれた深山さんってどんな人?」
「深山係長? う蟆ⅳⅳ稳摔险婷婺浚à蓼袱幔┮晦x倒って感じかな」
「どう真面目なの?」
「あの人、飲み会に誘っても必ずパスするんですよ。仕事が終わるといつも真(ま)っ直(す)ぐ帰っち