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仮面城(日文版)-第30章

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つけたように、じっとその写真の前に立ちすくんでいたが、由利先生がポンとその肩をたたくと、
「よしよし、いまに何もかも解決する。心配するな」
 と、またしてもみょうなことをいうと、
「それじゃ警部、発見者だというお嬢さんを呼んでくれたまえ」
 やがて、警部の命令によってはいってきたのは美罚ё婴扦ⅳ搿
 美罚ё婴悉ⅳ蓼辘韦胜筏撙恕ⅳ工盲觐喦啶钉幛皮い郡ⅳ饯欷扦庥衫壬钨|問にたいして、ゆうべの話をポツポツと話してきかせた。由利先生は熱心にその話を聞いていたが、歌時計のオルゴ毪趣膜激篪Qりやんだということを聞くと、ふしぎそうに、
「その歌時計というのはこれですか」
 と、ゆかの上にころがっている目ざまし時計をとりあげた。
「はい、それでございます」
「なるほど、これがとちゅうで鳴りやんだのですね」
 と、しげしげ時計をながめていたが、やがてギョッとしたような表情をあわてて押しかくしながら、
「ときに、お嬢さん。ここにかかっているこの写真は、どういうひとですか」
 と聞かれて、美罚ё婴膝铳盲绕訾筏俊
 しかし、いまとなっては隠しようがない。そこできのう父からきいた話を、残らず打ち明けたが、それを聞いていちばんおどろいたのは、またしてもあの坨Rの男だ。おもわずなにかいおうとするのを、由利先生はあわてて押しとめながら、
「いや、よしよし。それでは志岐くんというのを、ここへ呼んでもらおうか」
 やがて志岐英三がはいってきた。かれはまだパジャマのままでこうふんした顔色をしていたが、問われるままにゆうべの話をする。
「なるほど、するときみの考えでは、博士を殺したのは道之助にちがいないというんだね」
「むろんです。その指紋がなによりのしょうこです」
「ところがね、志岐くん。道之助はゆうべここへくるはずはないんだ。なぜならば、あの少年はゆうべずっと、このわしといっしょにいたんだからね」
「な、なんですって?」
「おいきみ。その眼鏡をとって顔を見せてやりたまえ」
 由利先生のことばも終わらぬうちに、坨Rの怪人物は、サッと眼鏡と帽子をかなぐりすてたが、とたんに美罚ё婴庥⑷饪≈狻ⅴⅴ盲趣肖辘摔嗓恧い俊¥啶辘猡胜ぁⅳ饯文肖长渐旦‘カスの人気者、栗生道之助少年ではないか。
「ああ、あなたは――」
 美罚ё婴悉ⅳ蓼辘韦嗓恧恕ⅳ猡铯氦Δ筏恧摔趣婴丹搿S⑷猡蓼们啶摔胜盲皮郡袱恧い馈
「お嬢さん、安心なさい。道之助くんはけっして悪党じゃない。なるほど奇怪な指紋の持ち主だが、その指紋をぬすんで悪事を働いていたやつは別にあるのです」
「な、なんですって?」
「三津木くん、きみにまでかくしていたのはすまなかったが、これにはわけがある。あのどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の怪盗のひょうばんが高くなりかけたころ、この道之助くんが、わしのところへやってきたのだ。そしてあの怪盗の残していく指紋は、たしかにじぶんの指紋にちがいないが、自分は決してそんな悪事をしたおぼえがないという。
 わしも大いにおどろいたが、等々力警部と相談して、道之助くんをしばらくわしの家へとめておいたのだ。ところが、そのあいだにもいぜんとしてどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の怪盗はあらわれる。そこでだれかが道之助くんの指紋をとって、それを精巧なゴム判かなにかにして、罪を道之助くんにかぶせようとしているのだということがわかった。
 それで道之助くんによく聞くと、大阪で|興行《こうぎょう》しているころ、見知らぬ客に招かれたが、そこで眠り薬をのまされて、眠ってしまったことがあるという。
 つまりそのとき指紋をとられたらしいのだが、さて、その客というのが何者だかわからない。
 人相を聞いても、相手は変装していたらしいので、そんなものは手がかりにならない。
 そこでわれわれもほとほと困ったあげく、戦法をかえて、道之助くんの写真をサ工违荪攻咯‘にいれて枺─袱澶Δ衰啸椁蓼い郡韦馈
 するとはたして、警視庁へ密告状がきて、道之助くんこそどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の怪盗だ、と教えてきた。
 わしの考えでは、その密告状のぬしこそあやしいと、ひそかに眨麞摔颏工工幛毪い盲荬Αⅳ铯钉让芨孀搐摔坤蓼丹欷郡瑜Δ暑啢颏筏啤⒐拣^であんな捕物さわぎをやって見せたのだ。
 なあに、あれは警部や道之助くんとあらかじめ打ち合わせておいて、わざと道之助くんをとり逃がすようにしておいたのだよ。道之助くんはしゅびよく逃げだすと、すぐわしのところへきて、それからいままでかくれていたのだが、そうとは知らずに、またのめのめとこんな人殺しをやったのは、これこそどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋の撙韦膜怠
 ああ、なんという意外な話、なんというふしぎな物語だろう。俊助も美罚ё婴狻ⅳⅳ蓼辘韦长趣摔郡坤埭Δ激螭趣筏皮い搿S⑷悉胜摔筏椤⒂碾懁摔扦馊·辘膜欷郡瑜Δ暑啢颏筏皮い郡ⅳ浃皮筏铯欷啃Δど蛄ⅳ皮毪取
「なるほど、しかしそれじゃ、本物のどくろ[#「どくろ」に傍点]指紋はどこにいるのだ?」
「ふむ、そこにいるよ。志岐くん、きみのパジャマのボタンがひとつちぎれているが、それはどうしたんだね?」
「な、なんですって?」
「ハハハハ、さすがの悪党もそれに気がつかなかったのが撙韦膜坤汀2┦郡蠚ⅳ丹欷毪趣⒎溉摔违堀骏螭颏窑沥盲俊7溉摔喜┦郡窑趣い怂坤螭坤长趣人激盲撇课荬樘婴渤訾筏郡⒉┦郡悉饯韦袱膜蓼老ⅳⅳ盲郡韦馈¥饯筏贫夏┠Г慰啶筏撙韦Δ沥恕ⅳ饯违堀骏螭蚋钑r計のなかへねじこんでおいたのだ。ほら見たまえ」
 と、由利先生が歌時計のふたをひらけば、コロコロところがりだしたのは血にまみれた一個のボタンだ。と同時にボタンによってさえぎられていたゼンマイが、ふたたび回転をはじめたかと思うと、いったんとぎれた『蛍の光』が、またゆるやかに鳴り出したのであった。
 そのとたん、ごうぜんたる物音が室内にとどろいたかと思うと、志岐英三のからだがバッタリと床の上にくずおれたのだった。
 英三の室内からは、はたして世にも精巧などくろ[#「どくろ」に傍点]指紋のゴム判が発見された。かれが自殺したいまとなっては、なぜそんなだいそれた悪事をはたらいたのか、知る方法もないが、推理をはたらかせてみると、かれは博士の財産に目をつけていたのだ。
 ところが博士はいつか話したように、あくまでも道之助をさがし出して、ゆくゆくは美罚ё婴冉Y婚させて、財産をゆずろうとしていたので、それを知った英三は、道之助をつみにおとしいれようと、あんな悪事をたくらんだのだが、その秘密を博士に知られたので、あんな恐ろしい人殺しをやったのであろう。
 道之助と美罚ё婴稀ⅳい蕖⒂衫壬伪Woをうけながら、きょうだいのように、仲よく勉強しているということである。


 本書には今日の人権意識に照らして不当.不適切と思われる語句や表現がありますが、作品執筆時の時代背景や作品の文学性などを考懀Г筏饯韦蓼蓼趣筏蓼筏俊
[#地から2字上げ](角川書店編集部)

|仮面城《かめんじょう》
 |横《よこ》|溝《みぞ》|正《せい》|史《し》

平成14年6月14日 発行
発行者 角川歴彦
発行所 株式会社 角川書店
〒102…8177 枺┒记Т锴皇恳2…13…3
shoseki@kadokawa。co。jp
(C) Seishi YOKOMIZO 2002
本電子書籍は下記にもとづいて制作しました
角川文庫『仮面城』昭和53年12月30日初版発行
         昭和62年 9 月20日15版発行

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      本书由
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